目黒区医師会ロゴ

頭痛第二弾 ~緊張型頭痛~

頭痛第二弾 ~緊張型頭痛~

平成31年2月1日 発行

前回は片頭痛について解説いたしました。今回は、頭痛で最も多い、緊張型頭痛について解説と治療方法についてご説明いたします。

緊張型頭痛は、頭痛の50~60%を占め、最も多く、片頭痛と同様に女性に多い頭痛です。名前のごとく、緊張によりおこる頭痛で、精神的な緊張、ストレスのみならず、頭部の周囲や首の筋肉、筋膜の緊張が原因と言われております。ですので、運動不足の方、ストレスの多い方、寝不足の方、喫煙者や姿勢の悪い方に非常に多い頭痛です。肩こり、首の痛みからせり上がる様な痛みは典型的ですが、両側のこめかみの締め付けるような痛みや圧迫されるような痛みを感じることも多い頭痛です。ただ吐き気を伴うことは少ないのですが、慢性化してくると体動で増強し、嘔気を伴うこともあります。特に最近は、スマートフォンやパソコンを長時間しかも同じ姿勢で使用する方が多く、姿勢の悪さから、ストレートネック(前方に湾曲するべき首が猫背姿勢で真っすぐから後方に湾曲となっている状態)をおこし、首こり、肩こりの原因となっております。体重の10%前後と言われている頭部が体の一番上にあり、それを支えているのが、首です。この首は、頸椎とそれを取り巻く筋肉からなっております。その首の筋肉はほとんどが後ろ側にあり、頭を後ろから支えています。そのため、ストレートネックや前かがみ姿勢の方は常に首の筋肉に緊張がかかった状態で、血流障害から痛みが誘発され、頭痛へと進展していきます。その痛みが続けば続くほど、痛みを抑える脳の働きが衰えて、さらに痛みが増強され、慢性緊張型頭痛へと移行します。この悪循環を解消する事こそが、緊張型頭痛の根本治療となります。

仕事中など忙しい時に緊張型頭痛がひどくなった場合は、まずは自分に最もあった頭痛薬を服用しましょう。鎮痛薬のアセトアミノフェンや抗炎症鎮痛薬のバッファリン、イブプロフェンやロキソプロフェンの服用で急場を凌ぐことです。その他筋弛緩薬のチザニジンの併用も効果があります。また抗不安薬であるエチゾラムは不安や緊張を和らげつつ、筋弛緩作用があるため併用は効果的です。その他抗うつ薬のアミトリプチリンも効果があります。

ただこれらの内服治療は、一時的な作用で持続は短いため、慢性化する前に根本的な治療を行っていくことです。日ごろのリラックス、ストレスの解消や十分な睡眠は必須です。仕事中の姿勢改善やストレッチングも効果があります。またマッサージや整体で筋肉をほぐしたり、姿勢を正すことも効果がありますが、頭痛まで進展した筋の緊張を取り除くのは、局所の針・お灸やマッサージのみでは不十分です。やはりご自身の体全体の筋肉を動かして首・肩の筋肉の血行を改善する事が必要です。おすすめは、ウォーキング、スロージョギングです。肩を大きく前後に振り、若干大股で歩きましょう。肺を大きく膨らませることで、理想の姿勢で理想の首の並びを維持できます。肩を前後に振ることで首、肩の筋肉の血流は改善し、発痛物質を除去します。また肺を大きく膨らますことは、きれいな酸素を全身に流し、さらに免疫力を上げます。仕事で忙しく運動の時間が作れないかたは、是非ショルダーバッグからリュックサックタイプのバッグに変更し、大股で通勤しましょう。若干体が暖かくなる程度のスピードが理想です。頭痛を改善するために、是非運動靴に履き替えて、外に飛び出しましょう。

(H・I記)

knowledge_box-bottom
一覧へ戻る