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令和5年 | 2月号 | 不妊治療の保険適用について |
令和4年 | 12月号 | 性感染症について | |
10月号 | 区民健(検)診を受けましょう | ||
8月号 | いびきと無呼吸 | ||
6月号 | ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについて | ||
4月号 | 小児のコロナワクチン接種について | ||
2月号 | 目黒区休日診療所 | ||
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不妊治療の保険適用について
不妊治療の保険適用について
令和5年2月1日 発行
令和4年4月から、不妊治療が保険適用されました。
それまでの不妊治療は、タイミング法は保険適用でしたが、人工授精・生殖補助医療におきましては全て自費診療でした。国の審議会(中央社会保険医療協議会)で審議された結果、有効性・安全性が確認された治療として、保険適用される事となりました。一般不妊治療として「タイミング法」「人工授精」があり、生殖補助医療として「採卵・採精」「体外受精・顕微授精」「受精卵・胚培養」「胚凍結保存」「胚移植」がありますが、それらが保険適用化された事となります。
⚫️保険適用されたメリット
・窓口での負担額が治療費の3割となります。
・治療費が高額な場合の月額上限(高額療養費制度)、条件が揃えば利用可能となりました。
・全額自費の場合と違い、3割負担の分、生殖補助医療に対するハードルが下がります。
⚫️保険適用される為の条件
・全員が生殖補助医療の保険適用を受けられる訳ではありません。治療開始において、女性の年齢が43歳未満である事。
初めての生殖補助医療治療開始時点の女性の年齢が40歳未満であれば、胚移植において通算6回まで(1子ごとに)可能。
40歳以上43歳未満であれば、胚移植において通算3回まで(1子ごとに)可能で、43歳以上の方には保険適用化は使えないという年齢制限が入る事となりますので、生殖補助医療をお望みになる43歳以上の方、年齢で分けられた胚移植の通算回数を超えた方は、全額自費での治療となります。
⚫️保険適用されたデメリット
・保険診療には守らなくてはならない規定があります。保険適用の範囲を超えての治療は出来ません。経膣超音波検査の回数や、排卵誘発に使う注射の量やお薬の種類や量などにルールがありますので、保険適用の範囲内での治療となります。
・多嚢胞性卵巣症候群の方の場合は、保険適用範囲内ですと、質の良い卵子を確保する事が難しくなります。
・43歳を超えてから不妊治療を受けたいと思った方には、生殖補助医療の保険適用がなされませんので、不公平さを感じる方々も出ておられます。
・計画的な医学管理を継続して行い、かつ療養上必要な診療・指導を行う事となりました>為、一般不妊治療を受けられる方には「一般不妊治療管理料250点(3月に1回)」、生殖補助医療を受けられる方には「生殖補助医療管理料300点または250点(月に1回)」が保険で加算されるしくみとなりました。担当医師は、当該患者様およびそのパートナーの病態、就労の状況を含む社会的要因、薬物療法の副作用や合併症のリスクなどを考慮した上での「治療計画」を作成し、当該患者様およびそのパートナーの同意を得る事が必須となり、当該患者様に対する毎回の指導内容の要点を診療録に記載する事も必要となりました。医療側の事務仕事量もかなり複雑化し、レセプトへの記載内容も膨大となりました。多くの不妊治療施設が大変な仕事量に忙殺されておられる事と思います。
⚫️その他
・医療側でも注意をしないといけない状況があります。保険適用で年齢ごとに胚移植の回数が決められていますので、転院をされた方の場合には前医からの診療情報提供書が必要となります。ご本人の申告だけで、生殖補助医療の保険診療を行う事は出来かねる事となります。
厚生労働省より「過去の治療を行った他の保険医療機関への照会」が求められております為、「保険診療での生殖補助医療の初日の治療計画日」「保険診療での胚移植回数」の書面を確認してから、生殖補助医療の保険診療が開始となります。
ですので、転院の際には、前医からの診療情報提供書が必要となります。記入が足りない場合には、足りない部分を確認してからの治療開始となりますので、そこもご注意頂きたい内容となります。
気楽に受けられるようになった分、患者様側にとっても医療側にとっても、保険診療規則を厳格に守っていく治療となりました。少しでも早く少子化から抜け出して、元気な日本を取り戻して行きたいものです。
(T・S記)

性感染症について
性感染症について
令和4年12月8日 発行
急増するコロナ以外の感染症
ここ数年梅毒が急増していることがテレビや新聞の報道で取り上げられています。2013年に梅毒に感染していると報告された患者数は1200人を超えて、年々増加傾向にあります。古い性病と思われがちであった梅毒がなぜ急増傾向にあるのかについては、様々な原因が考えられていますが、明確な原因は残念ながら不明です。
クラミジアは国内で一番多い性感染症
クラミジアは国内で一番多くみられる性感染症であり、梅毒同様に増加傾向にあります。クラミジアの場合、男性の場合は半数以上が症状が出るのに、女性の場合は9割以上が症状が出ないと言われています。
女性の場合は症状が男性と比べて出にくいために、放置していると卵管の障害にいたり不妊症の原因にもなりかねません。適切な抗菌剤の処方により男女ともにクラミジアは完治しますので、男性の場合は排尿痛、女性の場合はおりものが増加したなどの症状があれば近くの医療機関を早めに受診してください。
今年から性病のひとつであるマイコプラズマが健康保険の対象となりました。
性感染症の中であるクラミジアや淋病は尿や膣分泌物を採取して、病原体の遺伝子をチェックするPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査が健康保険で調べることができます。
性感染症の症状があるのに、クラミジアや淋菌が検出しないことも少なくはありませんでした。その原因として考えられるのが、マイコプラズマやウレアプラズマです。マイコプラズマによる性感染症は他の性感染症と症状で見分けることは困難でした。
そのうちの、マイコプラズマ・ジェニタリウムに対しては2022年6月から保険診療で検査が可能となりました。マイコプラズマ・ジェニタリウムの検査もクラミジアや淋菌と同様にPCR法で行うために、原因となる病原体が微量であっても同定が可能となっています。
性感染症を予防するためには
コンドームを使用することで、性感染症は予防できると考えられていますが、確実に100パーセント感染を防ぐことは難しいと考えられています。また、喉がイガイガするという風邪のような症状が続くために詳しく検査をしたらクラミジアが検出される咽頭クラミジアであることもあります。
検査方法や治療方法が進化していても、病原体は病原体なりに工夫を凝らして人類に襲いかかってきます。人類と病原体の戦いはいつまで続くのでしょうか?可能なところから感染を予防して、症状が出たら早めに医療機関を受診することが、現時点では自分や家族や愛する人を守る一番の方法とお考えください。
(K.O記)

区民健(検)診を受けましょう
区民健(検)診を受けましょう
令和4年10月1日 発行
2019年より世界中に拡大した新型コロナ感染症は、感染そのもの以外にも多くの不自由や負の影響を人々に与えました。なかでも人間ドックや健康診断の先延ばしによるガンや成人病の治療の遅れは深刻なものがあります。
昨年のNHKの健康チャンネルで、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、院内感染を恐れての受診控えから重症患者数が増加したという話がありました。同じように、医療機関に行くのを躊躇してしまい健康診断を受けそびれたために、ガンや生活習慣病の発見が遅れてしまった患者さんがいらっしゃいます。
確かに健康診断は義務ではありませんし、健康かどうかはご自身が一番わかることかもしれません。またいわゆる一刻を争って健(検)診に行くということでもないわけです。しかし糖尿病や高血圧などの生活習慣病は、初期には自覚症状がなく(痛くも痒くもない)、放置して悪化すると脳卒中や眼底出血などの健康体に戻りにくい疾患になってしまうこともあります。そうなってしまった患者さんの多くは、「健康診断を受けていれば良かった」と残念そうに話します。話ができる患者さんはまだしも命を失ってしまう事もあるのです。
それでもやはり医療機関へ行くのをためらう方もいらっしゃると思います。現在多くの医療機関は、発熱者は発熱外来を受診して頂くようにお願いしています。そして健(検)診に手をあげている医療機関では、院内感染防止のガイドライン等に則って換気や消毒等の感染予防対策を行っています。また健(検)診を予約制にしている医療機関も多くあります。
新型コロナウイルス感染がいつ収束するかは誰にも分かりません。ペストのように段々と減るかもしれませんし、インフルエンザのように生き残るのかもしれません。その間にも人は年齢を重ね、何らかの病を得ていくことになります。まずはしっかりと感染対策を行っている目黒区の医療機関で健(検)診を受けてみてはいかがでしょうか。皆様ご自身の健康状態を知ることによって、健康寿命を延ばすことが可能になり豊かな人生を送れるのではないかと思います。
目黒区にお住いの皆様には、目黒区特定健康診査とがん検診を受けられます。実施期間は、今年度は令和4年6月1日から令和4年11月30日までです。対象者は①年齢が40歳以上(4月1日から3月31日までの年度内に40歳以上)で目黒区国民健康保険に加入している方。②後期高齢者医療制度に加入している方。③年齢40歳以上(4月1日から3月31日までの年度内に40歳以上)で、目黒区の生活保護を受給していて、社会保険に加入していない方です。費用は無料で実施場所は受診券とともに実施医療機関名簿が同封されています。ご自身で確認して頂き予約等を行い受診してください。
また健診内容は、問診・身長体重等の測定・採血・心電図・胸部レントゲン・採尿が基本項目です。さらに詳細な項目として医師が必要と認めた際に、眼底検査や眼圧検査を受けられます。また、がん検診(大腸・子宮・肺・乳・胃)などの検診については対象者、期限(11月末終了〜3月末終了)がそれぞれ異なりますので詳しくは区のHPをご覧ください。受診券は5月末までに届いているはずですが、見当たらない方は健康推進課成人保健係 03- 5722-9589または03- 5722- 0423にお電話ください。
(C・M記)

いびきと無呼吸
いびきと無呼吸
令和4年8月1日 発行
みなさん、いびきをかいていませんか?いびきくらい、たいしたことはないと思っていませんか。いびきがひどくなると、呼吸が止まってきます。それが、いわゆる睡眠時無呼吸症候群です。呼吸が止まると、熟睡できなくなります。すると、常に睡眠不足の状態に陥り、いつも眠いです。20年くらい前の話になりますが、新幹線の運転手さんが、運転中に居眠りをして、事故をおこした事件がありました。もう忘れられた方もいるかもしれませんが、あの運転手さんがのちに重症の睡眠時無呼吸症候群と診断されました。日本人の5人に1人、推定300万人が睡眠時無呼吸症候群と言われています。
それでは、なぜ睡眠時無呼吸症候群になるのか。原因はいくつかありますが、大人の場合、まず大きな原因は肥満です。太っている方に多いです。その他、鼻がつまったり、のどが狭かったり、顎が小さかったりするのも原因となります。軽症の方は、経過観察でも良いのですが、重症の方を放置すると、血液中の酸素濃度が低下し、心臓に負荷がかかり、突然死の原因になります。高血圧症とか、不整脈をお持ちの方は、実は睡眠時無呼吸症候群かもしれません。
検査は簡単です。簡易型検査モニターがあり、1晩ないし2晩自宅で検査機器をつけて寝てもらうだけです。これで、ある程度のいびき数ないし無呼吸数がわかります。重症度によっては、1泊入院の精密検査が必要になってくることもあります。機械を貸し出して行う検査なので、大きな病院でなくても、小さなクリニックでも検査ができます。夜、何度もトイレに起きる、高血圧、日中よく眠くなる、いびきが大きい、肥満などの症状がある方は、近所のクリニックへ問い合わせてみてください。
治療は、主にCPAPという持続陽圧呼吸療法です。夜、酸素マスクをつけて寝てもらう治療法です。最近は、テレビに出ている芸能人の方や、お相撲さんがやられているのでご存知の方もいるかと思います。この治療を受けることで、夜も熟睡でき、いびきもかかなくなります。これがなければ眠れないと、出張や旅行にも持っていかれる患者さんもいます。ただし、重症の方しか、保険上の適応がありませんので、正しい診断のもとに行って下さい。
いびきは大人だけではありません。小児の無呼吸症候群もあります。
小児の場合、夜間いびきをかいたり、呼吸がおかしかったり止まったり、頚を異常に伸ばしたり、汗が多く夜間頻尿、夜尿、体動が多かったりします。日中も、眠気があったり、多動だったり、行動の異常や学習の問題があったりします。
小児の無呼吸症候群の原因は、ほとんどが扁桃肥大と鼻つまりです。口蓋扁桃と咽頭扁桃、別名アデノイドの肥大が原因のことが最も多く、次に花粉症などアレルギー性鼻炎による鼻閉が原因です。治療は、口蓋扁桃や咽頭扁桃の摘出術、それにアレルギー性鼻炎のコントロール、特に鼻づまりの改善です。お子さんに気になる症状があるときは、近くの耳鼻咽喉科や小児科へ相談してみて下さい。
(T・K記)

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについて
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについて
令和4年6月1日 発行
子宮頸がんという病気をご存じでしょうか
子宮頸がんは子宮の出口部分(頸部)にできるがんで、多くは若い女性に発生します。
日本では毎年約1万人が発症、約2900人の女性がこの病気で亡くなっており、1クラス35人の学級を考えた場合、2クラスに1人は子宮頸がんになり10クラスに1人は子宮頸がんで亡くなるという計算になります。
子宮頸がんは早期に発見し適切な治療を行えば治すことができます。そして、子宮頸がんはワクチン接種によって予防が可能な病気です。
しかし、進んだ状態で見つかると手術によって子宮の一部もしくは全体を摘出する必要があるため、妊娠にも影響を及ぼすことがあります。
子宮頸がんの原因が何かをご存じでしょうか
子宮頸がんのほとんどがヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルス感染が原因とされています。HPVは、性経験のある女性の50%以上が生涯で一度は感染するとされる一般的なウイルスで、子宮頸がん、肛門がん、腟がんや尖圭コンジローマ等多くの病気の発生に関わっています。
HPVに感染しても自然にウイルスが消失することがあります。しかし一部の人には感染が継続して子宮頸部の細胞が異形成といわれる前がん病変に変化していきます。その状態がさらに継続すると“前がん病変”から“がん”に進行してしまい手術などの治療が必要となります。
HPVのすべてが子宮頸がんの原因となるわけではありません。200種類以上あるHPVの中で少なくとも15種類のタイプが原因となることがわかっています。そしてこの原因ウイルスのワクチンを接種することで予防が可能なのです。
HPVワクチン積極的勧奨の再開とキャッチアップ接種
HPVワクチンは欧米で接種が始まりその有効性が実証され、日本では2013年に定期接種が始まりました。
しかし、接種開始後に出現した副作用が大きく取り上げられ、わずか2か月後に積極的勧奨が中止となり、その後8年間日本ではHPVワクチン接種が控えられる状態が続いてきました。その間全世界ではHPVワクチンの接種率が上昇し、その恩恵をうける人々も増えています。
その後日本でも2021年11月の専門家の会議でHPVワクチン接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められたことから、2022年4月より個別接種を勧める取組を再開することになりました(定期接種の対象年齢は小学校6年から高校1年相当)。これがHPVワクチン積極的勧奨の再開です。またHPVワクチン勧奨接種が控えられていた間に接種機会を逃した方が接種できるよう、公費での接種機会を提供することになりました。これがキャッチアップ接種です。キャッチアップ接種の対象は、1997年度~2006年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2006年4月1日)で、過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていない女性です。2022年4月~2025年3月の3年間、HPVワクチンを公費で接種できます。
勧奨接種の再開にあたり、HPVワクチンについての情報を整理し、副作用についてもより理解を深める必要があります。副作用のないワクチンは残念ながら存在しません。一方でワクチン接種によって我々が享受できる恩恵も忘れてはなりません。
HPVワクチン接種を迷われている方、副作用や接種の方法などで心配なことがある方は遠慮なくかかりつけ医にご相談ください。
また、子宮頸がんの予防のためには、子宮頸がん検診を定期的に受診することも大切です。検診を定期的に受けることで、がんの早期発見・早期治療につながります。
20歳を超えたら定期的な子宮頸がん検診を受診することを強くお勧めします。
(T・T記)

小児のコロナワクチン接種について
小児のコロナワクチン接種について
令和4年4月1日 発行
子どもにコロナワクチンは必要でしょうか?
2019年末、中国武漢に重い肺炎などをおこし、死亡も稀ではない病気が出現しました。それは瞬く間に世界中に拡散しSARS-CoV-2による感染症、Covid-19と命名されました。最新の技術を駆使して、短期間のうちに開発されたワクチン、それがmRNAワクチンです。mRNAは情報伝達の働きを有し、役目を終了すると短時間のうちに分解処理されます。ヒトの細胞核内には入れないので、長期にわたる影響やヒトの遺伝などへの問題は生じないといわれています。これはウイルスの表面にある突起(Sタンパク)を合成するための情報をもった遺伝子(mRNA)であり、注射により筋肉内に入ると筋肉細胞内に取り込まれます。そこでSタンパクが作成され、これを感知した免疫細胞であるリンパ球が、感染防御に必要なS抗体を作成します。S抗体はウイルスがヒトの細胞に侵入するために必要なSタンパクに結合してウイルスの侵入を防止します。今までにはなかった新しいワクチンなので、特に子どもに接種するにあたって、「大丈夫?」「副作用は?」「成人してからの問題は?」と心配になります。米国では2020年12 月成人への接種が開始され、2021年5月には16歳以上、同年11月には5歳から11歳へと、適応年齢が拡大されました。2020年12月から2021年12月までにCOVID-19ワクチンが米国で4億7千万回接種され、副作用の報告が検討されました。また2021年11月3日〜12月19日までに5〜11歳の子どもにファイザーのmRNAワクチンが約870万回接種され、有害事象などの検討も行われました。ここで把握されたものは、約4200件であり、ほとんどが発熱、嘔吐など軽い症状でした。ワクチン後の心筋炎は気になるところですが、Covid-19に感染した場合の心筋炎は頻度も程度も数倍以上、また長期化する場合があります。一方でワクチンによる心筋炎はより軽症で、ほぼ全員が回復していると報告されていますが、胸痛や動悸などの訴えには迅速な受診が必要です。接種後数日にみられる局所の痛みや腫れ、インフルエンザのような悪寒、発熱、筋肉痛、倦怠感、頭痛など、成人よりも少ないですが、やはり子どもにも発現します。2022年3月、今まで接種をしていなかった5歳から11歳に、接種券が配布されます。
では子どもにワクチン接種をする利点は何か?
ワクチンの利点としては、罹り患防止、あるいは罹り患しても軽症化できることです。また生活制限緩和、周囲への感染予防も期待できます。
確かに子どもは不顕性感染も多く、また症状が出ても 軽症といわれていますが、日本でも重症になり、集中治療室への入院を必要とした子どももいますし、外国では死亡も報告されています。その中でもMIS- C(Multisystem InflammatorySyndrome in Children, 小児多系統炎症性症候群) と言われるものは、コロナ罹り患後、数週間で発症し全身に様々な症状を認める重い病態で、子どものコロナ感染症において稀ではありますが、最も危惧されています。コロナそのものは気づかないか、軽症のことが多いようです。
このような重症化については、ワクチン接種済か、未接種かで明らかな差があり、ワクチンには重症化予防の効果があることを多くの論文が示しています。
また、ロングコロナと言われ、数カ月続くことがある様々な症状も子どもにも起こることがありますので、できるだけコロナにかからないような工夫や努力が必要です。
子どもたちの健やかな成長を保証するためにも、一日でも早くこの疫病が消え去ることを願わない日はありません。
もう少し、もう少しと、期待しつつ、我慢してきたところですが、すでに2年半経過しました。本当にいい加減にしてと、ウイルスに文句を言いたいです。
(N・K記)

目黒区休日診療所
目黒区休日診療所
令和4年2月1日 発行
皆さんは目黒区休日診療所をご存知ですか?目黒区医師会では、目黒区役所が区内3か所に設置した目黒区休日診療所を運営しています。具体的には、鷹番休日診療所(電話03-3716-5311)、中目黒休日診療所(電話03-5721-6110)、八雲休日診療所(電話03-5701-2492)の3か所です。それぞれの場所は、鷹番休日診療所が目黒区医師会別館1階、中目黒休日診療所が目黒区総合庁舎別館1階、八雲休日診療所がパーシモンホールに隣接した1階にそれぞれ位置しています。受付時間は、鷹番休日診療所は、土曜日が17時~21時30分、日曜日と祝日が、9時~11時30分と13時~21時30分。中目黒休日診療所と八雲休日診療所は、日曜日と祝日の、9時~11時30分と13時~16時30分が原則です。
休日診療所の利点は、(1)医師会員約20名による輪番制であり、仮に担当医の誰かが都合が悪い場合には別の医師が担当するため、結果的に休診がないこと、(2)受付事務、看護師ともに経験豊富な熟練したスタッフが多く安心感があること、(3)それぞれの休日診療所に隣接して院外薬局があり、処方された薬の入手が容易であること、(4)電話による医療相談が可能であり、また近隣の医療機関の情報も得られること、(5)最近、患者数が多くないため、待ち時間が少ないこと、(6)必要に応じて発熱外来等の対応が可能であること、等が挙げられます。
昨今のコロナ禍の影響もあり休日診療所の運営方法は柔軟に行っています。以前は休日診療所を上記3か所運営していましたが、その後、鷹番休日診療所と中目黒休日診療所の2か所で運営し、八雲休日診療所は年末年始や大型連休の時のみ運営していた時もありました。この原稿を書いている令和3年12月の時点では、鷹番休日診療所と八雲休日診療所の2か所で休日診療を運営しています。なお、中目黒休日診療所では、状況により発熱外来を実施しています。ちなみに令和3年の年末から年始にかけては、中目黒休日診療所で午後の発熱外来を実施予定です。なお診療内容は新型コロナ+インフルエンザ迅速抗原検査および処方です。
皆さんご存知のように日本では現在、新型コロナウイルス感染症の第5波がほぼ収束しています。目黒区内での月別新型コロナ感染者数も令和3年7月の3424人をピークにその後は急速に減少しました。しかしながら今後オミクロン株の蔓延等が生じた場合、第6波が始まる可能性があります。従って今後の状況によっては、休日診療所等で新型コロナのPCR外来等も実施する必要が生じるかもしれません。実際、目黒区医師会では令和2年4月から令和3年10月までの間、新型コロナのPCR検査の外来を運営し、5954名の検査を実施しました(陽性者589名、9.9%)。なおこの間、目黒区内の全医療機関で実施した新型コロナのPCR検査数は62494名でした(陽性者7302名、11.7%)。
休日診療では、新型コロナに限らず、インフルエンザや小児の発熱疾患等多くの患者さんのニーズがあります。目黒区医師会と目黒区休日診療所が地域住民の方々の健康維持に少しでも役に立てれば幸いです。
(W・H記)
