目黒区医師会ロゴ

インフルエンザ

インフルエンザ

平成30年12月3日 発行

いよいよ寒い季節がやってきました。冬といえば風邪、インフルエンザのシーズンです。インフルエンザは、普通の風邪とは違って、突然の高熱と全身のだるさ、筋肉痛などの全身症状です。通常、高熱が数日持続し、1週間程度で回復します。時には、肺炎や脳症などの合併症を伴い重症になることもあります。流行は通常11月~3月頃までです。

では、もしインフルエンザかな?と感じたら、医療機関を受診して検査を受けることになります。発熱後6時間以上経過してからの検査が陽性率が上がるといわれております。咽頭後壁ないし鼻腔内にスワブ(綿棒のようなもの)を挿入して、咽頭粘液を採取しますので痛みが生じます。高熱で苦しいときに、痛みを伴う検査を何度も繰り返されることは患者様にとってつらいことです。検査のタイミングを見計らって、医療機関を受診しましょう。ただ、発熱直後のウイルスが少ない時期は正確に診断できないことがあります。そこで、検査で「陰性」であっても、疑わしい場合は翌日も検査する事があります。

インフルエンザと診断をされたら、どのようなお薬が最適な治療薬なのか?ということが次に大切になります。今年度からはまた新しいタイプの治療薬が追加されましたので、患者様に最適な治療薬の提供ができるようになってまいりました。

インフルエンザ治療は、症状を緩和する対症療法とウイルスを増やさない抗インフルエンザ薬があります。

1.対症療法:発熱・咳・痰・倦怠感などの対応

2.抗インフルエンザ薬:通常、発熱後2日以内に使用します

インフルエンザに抗生物質は効きません

抗インフルエンザ薬の治療効果は、発熱期間を短縮するものです。また、ウイルスの増殖を防ぐことで、周囲の方への感染の拡大抑制効果もあります。では、インフルエンザの治療薬にはどのようなものがあるのでしょうか?現在は、5種類の抗インフルエンザ薬があります。薬の剤型も5種類あります。1.カプセル(タミフル)、2.錠剤(ゾフルーザ)、3.粉(タミフル)、4.吸入(リレンザ・イナビル)、5.点滴(ラピアクタ)。患者様の年齢や体格(体重)と日頃の服薬状況・職場復帰など、生活環境に適した治療薬の選択ができるようになりました。

抗インフルエンザ薬を選択する目安

1:タミフルを選ぶ目安

5歳未満児の第1選択薬。体重37.5Kg未満はドライシロップ、体重37.5Kg以上はカプセルを服用します。2018年からジェネリック医薬品も発売され、中学卒業後の人で医療費を抑えたい人にも対応できます

2:リレンザを選ぶ目安

吸入薬。5日間連続で1日2回吸入します。成人も子どもも同じ量を使用

・メリット:イナビルと比較すると、10歳未満児で体格の良い人でも十分量の薬を投与できます

・デメリット:イナビルと比較すると、合計10回吸入するので、保護者が毎回吸入の介助(手伝い)ができないご家庭にはやや不向きな印象です

3:イナビルを選ぶ目安

吸入薬。1度の吸入で治療完結。10才未満児は2吸入、10歳児以上は4吸入します

・メリット:リレンザと比較すると1度の吸入で治療が終了するので、忙しいご家庭向きです

・デメリット:リレンザと比較すると10才未満児で体格が良いお子さんには、薬の量が少なめになる印象です。

4:ゾフルーザ錠を選ぶ目安

錠剤。1回の服用で治療が完結します。年齢と体重により服用量が変わります。 日頃から上手に錠剤が飲める人にお勧めします。体重10Kg以上のお子さんから服用できる決まりです。

5:ゾフルーザ顆粒(未発売)を選ぶ目安

顆粒。1回の服用で治療が完結します。体重20Kg以上から服用できます。錠剤と同様で年齢と体重により服用量が変わります。ゾフルーザ錠と異なり体重10Kg~20Kgの方は服用できません。

6:ラピアクタを選ぶ目安

点滴が必要な注射薬です。経口摂取艱難な患者様、点滴で早期の社会復帰を望むような患者様に適しております

これからのシーズン、高熱が出て、全身症状が強く、いつもの風邪とは違う、と感じたら早めに医療機関を受診して、インフルエンザと診断を受けたら、最適の治療薬を選択してゆっくり体を休めましょう。

(R・S記)

knowledge_box-bottom
一覧へ戻る