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片頭痛

片頭痛

平成30年10月1日 発行

頭痛を全く感じたことがない方はいないと思います。またその頭痛で恐怖を感じたことはないでしょうか?でも頭痛をある程度知っておけば怖がる必要はありません。

頭痛には脳の中に出血、梗塞、脳動脈解離や脳腫瘍などが起こってから痛みだす二次性頭痛と、検査で何も異常のない一次性頭痛があります。この両者を判断するには画像検査が必要です。でもすぐに頭部MRIやCT検査が出来ないときには、その頭痛の性状などで判断します。脳の中で何か起こって感じる二次性頭痛の多くは急激な発症です。しかもすぐに消失するものではなく、軽減しても持続する頭痛です。さらに頭痛以外に嘔気・嘔吐、意識障害、上下肢の麻痺・痺れやめまいなど、その他症状を伴います。

この様な頭痛では、緊急性があるため医療機関への早い受診が必要です。この様な緊急性のある二次性頭痛の中に、脳の中に何の異常もない頭痛が含まれており、それが片頭痛や群発性頭痛です。今回は片頭痛に関して解説して参ります。

典型的な片頭痛は、頭のどちらかに偏った片側性で拍動性のがんがんする痛みです。さらに随伴症状で嘔気・時に嘔吐を伴い、体動で増強し、光や音でさらに症状が悪化します。もちろん片頭痛と言う名の如く、片側性の頭痛が多いのですが、頭部全体の痛みや後頭部から起こる頭痛もあり、70~80%は女性です。

20~30%の患者さんに何らかの前兆を認めます。前兆の特徴的なものは閃輝暗点といい、視野の中にギラギラしたものが見え始め、徐々に拡大、閉眼でも片目でも見え、視野欠損を伴います。その他の前兆にはめまい、顔面・四肢のチクチク感や変な臭いを伴うこともあります。

時間は20~60分程度、その後に片頭痛を発症します。片頭痛が起こらず、前兆のみで終わる場合もあります。

ただ多くの片頭痛は、前兆を伴わず、急に痛みが起こります。頭痛は数時間から3~4日程度続く事が多く、生活に支障をきたす様な頭痛です。

また片頭痛の多くには、誘発因子があります。例えば、女性では毎月の生理の前に頭痛が起こる場合、雨が降ると痛くなることや、パソコンの光(ブルーライト)、太陽の光によって痛くなることもあります。その他睡眠不足、精神的・肉体的ストレスなどからの誘発や芳香剤、食事(チョコレート、中華料理、コーヒー、チーズや飲酒など)からの誘発もあり得ます。

頭痛治療の基本は、これらの誘発因子を見極め、可能な限り誘発されない環境を作ることです。それでも頭痛が起こる時には、内服薬を選定します。内服薬は、頓服としての痛み止めと予防薬に分かれます。頓服薬には、通常の抗炎症鎮痛薬(バッファリン、ロキソプロフェンなど)と、片頭痛用のトリプタン系薬剤(スマトリプタンなど)があります。

まずは比較的安価な抗炎症鎮痛薬から選び、効果を図ります。内服のタイミングは、前兆のある場合は痛くなる前の前兆の時に内服をします。痛みが悪化してからでは効果は期待できません。若干早めのタイミングでの内服がベストです。それでも効果がないときには、トリプタン系薬剤を用います。

現在5種類が保険適応となっており、初代のスマトリプタンだけは点鼻薬や自己注射薬があります。これは前兆がなく、急激な発症で嘔気・嘔吐を伴い内服が間に合わない場合に用い、効果の発現も早いものです。

しかしこれら頓服薬の使用頻度が月に3回~5回と増えてきた時や起床時からの頭痛など頓服効果が期待出来ないケースでは、予防薬が必要です。さらに使用頻度が増えることで、副作用の増強や乱用性頭痛と言って、使用が増えることで頭痛がさらに悪化する場合があります。

この様な場合も、予防薬を選びます。予防薬は、漢方薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、降圧薬などがあり、これらを患者さんの年齢、性別や誘発因子などから選びます。予防薬の内服で、頓服薬を全く内服しなくなった患者さんもおられます。

以上のように頭痛、特に片頭痛は、かつてより多くの薬剤の開発や発症機序が解明され、コントロール可能となって参りました。

頭痛の経験がある方は一度頭痛外来で相談してみてください。今回は片頭痛について解説いたしましたが、その他、片目の奥のガンガンする痛みで、目の充血や鼻閉が特徴的な群発性頭痛や緊張型頭痛があります。

これらの解説は次回とさせていただきます。ご拝読ありがとうございました。

(H・I記)

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