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「脂質異常症」に気がついていますか?

「脂質異常症」に気がついていますか?

平成23年6月1日 発行

脂質異常症は、血液中の脂質、例えばコレステロール、中性脂肪、リン脂質遊離脂肪酸などの値が異常であることをいいます。

これら脂質は、細胞膜、ホルモン生成などの材料であり、また、エネルギーの貯蔵庫となり、生命維持には欠かせない大切な物質です。しかし、脂質が何らかの原因で、異常な値を示すことになれば、「脂質異常症」と診断されます。

この、脂質異常症を自覚している方は、約30%(平成18年国民栄養調査)と少なく、高血圧、糖尿病に比べて、その認知度が低いのが現状です。

さて、なぜ 脂質異常症が問題となるのでしょうか? 脂質には、色々な物質がありますが、代表的なものとして、LDLコレステロール(悪玉)、HDLコレステロール(善玉)、中性脂肪があげられます。 脂質は、肝臓で作られ、食事からも吸収されて、血液中に一定量が維持されるよう調節されています。しかし、遺伝、さまざまな病気、食事の不摂生等で、その調節機能が破綻すると、LDLコレステロール、中性脂肪が高値を、HDLコレステロールが低値を示すようになってきます。

LDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身の組織に運ぶ作用がありますが、大量のLDLコレステロールは、血管壁に入り込み変性して、動脈硬化を起こします。これが「悪玉コレステロール」と呼ばれる理由です。一方、HDLコレステロールは、余ったコレステロールを肝臓に戻す役割があり、「善玉コレステロール」といわれます。これが低いとやはり、動脈硬化は進展し、その結果、心筋梗塞、脳卒中などが発症する可能性が高くなります。

脂質異常症の診断は、血液検査で行われます。LDLコレステロール140mg/dl、中性脂肪150mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl以下です。

多くの臨床研究が、我が国をはじめ全世界で報告され、脂質異常を適正に管理することの重要性が報告されています。なお、管理目標値は、合併する動脈硬化関連因子の数により、規定されています。

ぜひこれを機会に、自分の脂質値を確認され、異常値であれば、かかりつけ医と相談して、管理目標値を目指しましょう。

(Y・K)

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