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生活習慣病 療養計画書とは何ですか?

生活習慣病 療養計画書とは何ですか?

令和7年2月1日 発行

高血圧や糖尿病、高コレステロール血症などの脂質異常症のためにかかりつけ医を定期受診した際に「生活習慣病 療養計画書」という書類を受け取られた方がいると思います。令和6年6月から高血圧・糖尿病・脂質異常症の治療が主な通院理由である患者さんにこの文書をお渡しすることになりました。従来は継続的な療養管理が必要な疾患は広く特定疾患と分類されていましたが、上記3疾患が別枠に分類されることとなったのです。これまでもこれらの疾患で通院されている特定の患者さんに対してお渡しする場合がありましたが対象範囲が大きく広がりました(大規模病院に通院されている方、インスリンの自己注射をされている患者さんなど一部は対象外となります)。初回は計画を説明した際に患者さんに署名をしていただく規定があり、計画書は覚えていなくても診察を受けた際にサインを書いたことを覚えている方もいらっしゃるかもしれません。

令和2年厚生労働省患者調査によると高血圧は約1500万人、糖尿病は約580万人、脂質異常症は約400万人の方が治療を受けている(ひとりの患者さんが複数の疾患を重複する場合もあります)とされ、多くの患者さんが該当します。これらの疾患は生活習慣の影響が大きく生活習慣病(昔は成人病)とも呼ばれます。心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まることからコントロールが必要となります。薬物療法も重要ではありますが、日々の食事や運動などの生活習慣の影響がとても大きいのです。

そのため厚生労働省は栄養、運動、休養、喫煙、飲酒及び服薬等の生活習慣に関する総合的な治療管理を行う旨、患者さんに対して療養計画書を交付するように指示しています。計画書の書式は指定のものあるいはそれに準じた医療機関が作成したものが用いられていますが、基本的には「達成・行動目標」を設定してそれを達成するための具体的な方策を患者さんと決めて記載します。例えば、職場でエレベータを多用している方では「階段を積極的に利用することで1日1万歩程度の運動量を目指しましょう」という作戦を立てていきます。次回の診察の際に具体的な状況などを聞いて、修正点などを相談していくことになります。目標を達成できている場合はさらに踏み込んだ改善を新しい目標に設定することもあります。その場合は改めて療養計画書を交付することになります。

また、忘れたころに診察時に更新された計画書を受け取られた方もいるかと思います。治療計画が変更となった場合や患者さんまたはご家族が希望した場合には計画書を再度お渡しするほか、変わりが無い場合もおおむね4か月に1回以上のペースでお渡しすることになっています。「もらわなくてもよいのだけれど」と思う方もいるかもしれませんが、療養計画書は医師と患者さんとで話し合った作戦が記載されたものであり是非ご自宅でも見返していただければと思います。

改善した生活習慣を継続することがこれらの疾患と付き合っていくコツになります。特に食事などはメニューなど一緒に生活されている方にもご理解いただきたい場合があります。療養計画書をもとにご家族ともお話していただく機会とするのもよいかもしれません。

(Y・T記)

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