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性感染症について

性感染症について

令和4年12月8日 発行

急増するコロナ以外の感染症

ここ数年梅毒が急増していることがテレビや新聞の報道で取り上げられています。2013年に梅毒に感染していると報告された患者数は1200人を超えて、年々増加傾向にあります。古い性病と思われがちであった梅毒がなぜ急増傾向にあるのかについては、様々な原因が考えられていますが、明確な原因は残念ながら不明です。

クラミジアは国内で一番多い性感染症

クラミジアは国内で一番多くみられる性感染症であり、梅毒同様に増加傾向にあります。クラミジアの場合、男性の場合は半数以上が症状が出るのに、女性の場合は9割以上が症状が出ないと言われています。

女性の場合は症状が男性と比べて出にくいために、放置していると卵管の障害にいたり不妊症の原因にもなりかねません。適切な抗菌剤の処方により男女ともにクラミジアは完治しますので、男性の場合は排尿痛、女性の場合はおりものが増加したなどの症状があれば近くの医療機関を早めに受診してください。

今年から性病のひとつであるマイコプラズマが健康保険の対象となりました。

性感染症の中であるクラミジアや淋病は尿や膣分泌物を採取して、病原体の遺伝子をチェックするPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査が健康保険で調べることができます。

性感染症の症状があるのに、クラミジアや淋菌が検出しないことも少なくはありませんでした。その原因として考えられるのが、マイコプラズマやウレアプラズマです。マイコプラズマによる性感染症は他の性感染症と症状で見分けることは困難でした。

そのうちの、マイコプラズマ・ジェニタリウムに対しては2022年6月から保険診療で検査が可能となりました。マイコプラズマ・ジェニタリウムの検査もクラミジアや淋菌と同様にPCR法で行うために、原因となる病原体が微量であっても同定が可能となっています。

性感染症を予防するためには

コンドームを使用することで、性感染症は予防できると考えられていますが、確実に100パーセント感染を防ぐことは難しいと考えられています。また、喉がイガイガするという風邪のような症状が続くために詳しく検査をしたらクラミジアが検出される咽頭クラミジアであることもあります。

検査方法や治療方法が進化していても、病原体は病原体なりに工夫を凝らして人類に襲いかかってきます。人類と病原体の戦いはいつまで続くのでしょうか?可能なところから感染を予防して、症状が出たら早めに医療機関を受診することが、現時点では自分や家族や愛する人を守る一番の方法とお考えください。

(K.O記)

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