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いびきと無呼吸

いびきと無呼吸

令和4年8月1日 発行

みなさん、いびきをかいていませんか?いびきくらい、たいしたことはないと思っていませんか。いびきがひどくなると、呼吸が止まってきます。それが、いわゆる睡眠時無呼吸症候群です。呼吸が止まると、熟睡できなくなります。すると、常に睡眠不足の状態に陥り、いつも眠いです。20年くらい前の話になりますが、新幹線の運転手さんが、運転中に居眠りをして、事故をおこした事件がありました。もう忘れられた方もいるかもしれませんが、あの運転手さんがのちに重症の睡眠時無呼吸症候群と診断されました。日本人の5人に1人、推定300万人が睡眠時無呼吸症候群と言われています。

それでは、なぜ睡眠時無呼吸症候群になるのか。原因はいくつかありますが、大人の場合、まず大きな原因は肥満です。太っている方に多いです。その他、鼻がつまったり、のどが狭かったり、顎が小さかったりするのも原因となります。軽症の方は、経過観察でも良いのですが、重症の方を放置すると、血液中の酸素濃度が低下し、心臓に負荷がかかり、突然死の原因になります。高血圧症とか、不整脈をお持ちの方は、実は睡眠時無呼吸症候群かもしれません。

検査は簡単です。簡易型検査モニターがあり、1晩ないし2晩自宅で検査機器をつけて寝てもらうだけです。これで、ある程度のいびき数ないし無呼吸数がわかります。重症度によっては、1泊入院の精密検査が必要になってくることもあります。機械を貸し出して行う検査なので、大きな病院でなくても、小さなクリニックでも検査ができます。夜、何度もトイレに起きる、高血圧、日中よく眠くなる、いびきが大きい、肥満などの症状がある方は、近所のクリニックへ問い合わせてみてください。

治療は、主にCPAPという持続陽圧呼吸療法です。夜、酸素マスクをつけて寝てもらう治療法です。最近は、テレビに出ている芸能人の方や、お相撲さんがやられているのでご存知の方もいるかと思います。この治療を受けることで、夜も熟睡でき、いびきもかかなくなります。これがなければ眠れないと、出張や旅行にも持っていかれる患者さんもいます。ただし、重症の方しか、保険上の適応がありませんので、正しい診断のもとに行って下さい。

いびきは大人だけではありません。小児の無呼吸症候群もあります。

小児の場合、夜間いびきをかいたり、呼吸がおかしかったり止まったり、頚を異常に伸ばしたり、汗が多く夜間頻尿、夜尿、体動が多かったりします。日中も、眠気があったり、多動だったり、行動の異常や学習の問題があったりします。

小児の無呼吸症候群の原因は、ほとんどが扁桃肥大と鼻つまりです。口蓋扁桃と咽頭扁桃、別名アデノイドの肥大が原因のことが最も多く、次に花粉症などアレルギー性鼻炎による鼻閉が原因です。治療は、口蓋扁桃や咽頭扁桃の摘出術、それにアレルギー性鼻炎のコントロール、特に鼻づまりの改善です。お子さんに気になる症状があるときは、近くの耳鼻咽喉科や小児科へ相談してみて下さい。

(T・K記)

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