目黒区医師会ロゴ

ロタウイルスワクチンの定期接種化
―令和2年10月1日開始―

ロタウイルスワクチンの定期接種化
―令和2年10月1日開始―

令和2年10月1日 発行

令和2年10月1日より、ロタウイルス胃腸炎の予防ワクチンの定期接種化が始まります。

ロタウイルスは、乳幼児が罹患しやすく、水様性下痢、嘔吐、腹痛、発熱などを呈します。時には、脱水を起こすこともあり、注意が必要です。

また、けいれん、肝機能異常、腎不全、脳症などを合併することもあります。

国内でのロタウイルス胃腸炎は冬~春に多く発症しますが、近年では3~5月に流行し、好発年齢は生後4ヵ月~2歳とされています。また、5歳未満の急性胃腸炎の入院の4~5割程度がロタウイルス由来といわれています。

ロタウイルスワクチンは、経口生ワクチンです。1価ロタウイルスワクチン(ロタリックス)と5価ロタウイルスワクチン(ロタテック)の2種類があります。ロタリックスは出生6週0日後から出生24週0日後まで4週間以上の間隔をおいて2回経口接種、ロタテックは、出生6週0日後から出生32週0日後まで4週間以上の間隔をおいて3回経口接種します。なお、2回目以降も同じ種類のワクチンを受けることになります。両ワクチンとも予防効果に明らかな差は認められていません。

さて、定期接種の対象ですが、令和2年8月1日以降に生まれた0歳児となります。定期接種としては、出生6週0日後から接種を受けることができますが、初回接種の標準的接種期間は、生後2ヵ月から出生14週6日後までとなります。また、出生15週0日後以降の初回接種は安全性の観点からお勧めしていません。なお、定期接種扱いになるのは、令和2年10月1日からですので、ご注意下さい。

ところで、ロタウイルスワクチンの副反応で注意が必要なのは、腸重積症の発症です。数万接種に一例程度ですが、特に初回接種後1週間以内は、発生に注意が必要とされています。腸重積症とは、腸と腸がはまりあう病気です。接種後21日内、特に1週間以内に、不機嫌、周期的な啼泣、腹部膨満、血便(イチゴゼリー状)などを呈した場合には、速やかに医療機関を受診する必要があります。受診の際にはロタウイルスワクチンを服用した事を伝えて下さい。一般に腸重積症は乳児期後半に発症頻度が高くなりますので、初回接種は出生14週6日までに接種することが、とても大切です。

ロタウイルスワクチンを受けることができない人は、①明らかな発熱を呈している場合、②重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな人、③ワクチンの成分によって過敏症を呈したことがある人、④腸重積症の既往のある人、⑤腸重積症の発症を高める可能性のある未治療の先天性消化管障害(メッケル憩室など)を有する人、⑥重症複合型免疫不全(SCID)を有する人、⑦その他、予防接種を行うことが不適当な場合、となっています。

近年では世界的にも、ワクチン導入後、ロタウイルス感染症は減少傾向を示し、更に直接効果だけでなく、集団免疫効果も認められております。ロタウイルスは自然に感染すると免疫がつきますが、種類があって、特に初回の感染は重くなる傾向があります。感染する前にワクチン接種をして免疫をつけることが重要です。

以上、令和2年10月から、令和2年8月以降に生まれたお子さんが定期接種の適応となりますが、有効性、安全性から、接種月齢(週数)の幅が決まっておりますので、適切な月齢で受けるようにして下さい。

(S・I記)

knowledge_box-bottom
一覧へ戻る