目黒区医師会ロゴ

非結核性(非定型)抗酸菌症とはどんな病気か

非結核性(非定型)抗酸菌症とはどんな病気か

平成29年2月1日 発行

結核の原因である結核菌の仲間を、抗酸菌といいます。結核菌以外の抗酸菌で引き起こされる病気が非結核性抗酸菌症です。かつては結核菌によるものを定型的と考えていたので、非定型抗酸菌症ともいわれていました。

結核との大きな違いは、ヒトからヒトへ感染(伝染)しないこと、病気の進行が緩やかであること、抗結核薬があまり有効でないことなどがあります。近年、結核の減少とは逆に発病者が増えてきており、確実に有効な薬がないため、患者数は蓄積され、重症者も多くなってきています。また、HIV感染者への感染(エイズ合併症)が問題になっています。

原因は何か

非結核性抗酸菌が原因です。非結核性抗酸菌にはたくさんの種類があり、ヒトに病原性があるとされているものだけでも10種類以上があります。日本で最も多いのはMAC菌(マイコバクテリウム・アビウム・イントラセルラーレ)で、約80%を占め、次いでマイコバクテリウム・カンサシが約10%を、その他が約10%を占めています。

全身どこにでも病変をつくる可能性はありますが、結核同様、ほとんどは肺の病気です。発病様式には2通りあり、ひとつは体の弱った人あるいは肺に古い病変のある人に発病する場合、もうひとつは健康と思われていた人に発病する場合です。

症状

自覚症状がまったくなく、胸部検診や結核の経過観察中などに偶然見つかる場合があります。症状として最も多いのは咳で、次いで、痰、血痰・喀血、全身倦怠感などです。進行した場合は、発熱、呼吸困難、食欲不振、やせなどが現れます。

一般的に、症状の進行は緩やかです。ゆっくりと、しかし確実に進行します。

検査と診断

診断の糸口は、胸部X線やCTなどの画像診断です。とくに、最も頻度の高い肺MAC症は特徴的な画像所見を呈します。喀痰などの検体から非結核性抗酸菌を見つけることにより診断されます。

ただし、本菌は自然界に存在しており、たまたま喀痰から排出される(偶発排菌)こともあるので、ある程度以上の菌数と回数が認められることと、臨床所見と一致することが必要です。2008年に肺MAC症の診断基準が緩やかになり、(1)特徴的画像所見、(2)他の呼吸器疾患の否定、(3)2回以上の菌陽性で診断できることになりました。

菌の同定は、遺伝子診断法(PCR法やDDH法など)により簡単、迅速に行われるようになっています。 最も鑑別すべき疾患は結核です。そのほか、肺の真菌症、肺炎、肺がんなども重要です。

治療

結核に準じた治療を行います。最も一般的なのはクラリスロマイシン(CAM)、リファンピシン(RFP)、エタンブトール(EB)、ストレプトマイシン(SM)の4剤を同時に使用する方法です。しかし、この方法による症状、X線像、排菌の改善率はよくても50%以下にすぎません。治療後、再び排菌する例などもあり、全体的な有効例は約30%です。副作用の出現率も3分の1程度あります。投薬は結核の時よりはるかに長期間服用する必要があります。ただし、空洞のある例、排菌量の多い例、若年発症例、広範な病変例など、その人の人生に影響を与えると予測される場合には、積極的に治療をすすめます。

確実に有効な治療法がないので、患者数は増え、漸次進行例が増えてきているのが現状です。2008年に、クラリスロマイシンの大量療法とリファンピシンの代替薬リファブチンの保険での使用が可能となりました。

非結核性(非定型)抗酸菌症に気づいたらどうする?

結核に理解のある呼吸器科医あるいは結核療養所を受診するのがよいでしょう。生活は普通どおりにできますし、ヒトからヒトへ感染しないので、自宅で家族といっしょに生活してもかまいません。非結核性抗酸菌は水や土壌など自然界に存在しており、それが感染するということは、体が弱っている(免疫が落ちている)ことが考えられますので、むしろ体力を増強させるような生活が望まれます。

(R・S記)

knowledge_box-bottom
一覧へ戻る

B型肝炎ウイルス予防接種

B型肝炎ウイルス予防接種

平成28年12月1日 発行

B型肝炎ワクチンが本年10月より定期接種となりました。接種対象者は2016年4月1日以降に生まれた乳児です!(それ以前に生まれた乳幼児は対象外ですので、任意接種となるため、残念ながら有料です)

B型肝炎ウイルス感染を防ぎ、将来の肝臓がんを予防できるワクチンです。B型肝炎ウイルスに感染すると、潜伏期(45~160日、平均90日)を経て急性肝炎を発症し、発熱・全身倦怠感・吐き気・嘔吐・黄疸などの症状がでます。時に重症化すると劇症肝炎となり、死亡することもありますが、一方で全く症状無く感染に気づかない場合もあります。成人の場合は持続感染することは少なく(数%)、多くは治癒しウイルスは消失し、その後は問題無し、と以前は考えられていましたが、最近はそうではないことが分かってきました。それはウイルスの遺伝子が肝細胞に残存し、免疫が弱くなる状況でウイルスの再活性化(ウイルスの増殖)が生じ、その後体力が回復するとウイルスとの壮絶な戦い(de novo肝炎)になり死亡するという、何ともやりきれない事態になることです。またB型肝炎ウイルスのタイプにも変化がみられ、最近は成人の感染でもキャリア化しやすい遺伝子型Aという型が増加し問題になっています。

このような事態にいつ誰がなるか、分かりません。それを防ぐため、ワクチンでB型肝炎への感染を予防しておくことが重要です。

乳幼児期に感染すると急性肝炎の症状が現れず、そのままウイルスが肝臓に棲み着き、特に新生児は95%、1歳では50%程度、慢性感染(キャリア)になり、やがて慢性肝炎、肝硬変、肝がんになる可能性があります。乳児のB型肝炎ワクチンは、B型肝炎ウイルス感染を防止し、将来の慢性肝炎、肝硬変、肝がんを防ぐという長期的肝がん予防ワクチンです。

今年6月WHOは、世界では2億4000万人がこのウイルスに慢性感染しており、肝硬変や肝がんなどのB型肝炎合併症のために1年で68万6千人以上の人が死亡していると言っています。

東アジアやサハラ下アフリカに最も多く、国によっては成人の5~10%が慢性感染者です。

日本ではB型急性肝炎により入院した人は推定で年 1800人位、軽症や潜伏感染も含めると5000人以上が新たにB型肝炎ウイルスに感染をしていると推定されます。

ではB型肝炎ウイルスにはどのように感染するのでしょうか?

これには垂直感染(出産時に母から子に)と水平感染(血液、唾液、汗、涙、精液などの体液を介して)があります。以前は輸血により感染することが多かったので、輸血後肝炎または血清肝炎と言われていました。1964年に有名なアメリカ大使ライシャワー氏が日本で1000ccの輸血を受け、血清肝炎に罹患したため、売血による輸血が廃止され、献血による輸血システムが採用されました。売血輸血時代は50%の人が輸血後肝炎にかかっていましたが、献血制度導入後の1960年代後半では16%、最近は0.001%に減少しています。

日本では世界に先駆けて、1986年1月1日以降に生まれた新生児、乳児にB型肝炎母子感染防止事業により、予防接種を含む的確な対応をした結果、垂直感染も激減しました。

輸血や垂直感染リスクが減少した現在では、粘膜や皮膚の傷から、精液、唾液、汗、涙などの体液による水平感染の防止が重要になっています。

水平感染を予防するため、WHOが1992年にユニバーサルワクチンとしてB型肝炎ワクチンを生後24時間以内の新生児に接種することを推奨し、現在115か国がこの方法で接種、また184か国が小児の予防接種スケジュールに含めています。日本では、水平感染防止のための予防接種は任意(国は特に推奨せず、希望者のみ有料で受けられます)のままでしたが、出遅れていた日本も2016年10月1日からB型肝炎予防接種を定期に加えました。

2016年4月1日以降にうまれたすべての乳児が対象となっており、B型肝炎ウイルスによる肝炎・肝硬変・肝細胞がんの発症が減ることが期待されます。

(K・N記)

knowledge_box-bottom
一覧へ戻る

乳がんの現状

乳がんの現状

平成28年10月1日 発行

乳がんが増えています。テレビやニュースで話題となり、知り合いが精密検査を受けたといった話を聞くなど、とても身近な関心事です。

いまや日本全国で、1年間に約8万人が新しく乳がんになっていて、女性が罹るがんの第一位です。そして、全国都道府県の中でも、東京都が突出して多いことが分かってきました(国立がん研究センターからの発表)。無論、そこには私たちの目黒区も含まれています。

なぜ東京で、そんなに多くなっているのでしょうか。出産や授乳の経験がない女性では、乳がんになるリスクが高まると言われています。女性の、いわゆる都会型のライフスタイルにより出生率が低くなり、それが乳がんの罹患率を引き上げる要因の一つと考えられています。言い換えると、昔のように若い年代から子どもを多く産んで授乳をしていた時代の方が、乳がんは少なかったのです。出産と授乳をすることで、乳腺の細胞・組織が十分に成長・分化を遂げて、さまざまな発がん刺激に対して強くなるためと考えられています。

発がんは様々な要因が重なって起こると考えられますが、発がん刺激の代表は、何といってもタバコの喫煙です。タバコは肺がんの原因だけと思ったら大間違いで、乳がんの発症リスクにもなりますし、多くの生活習慣病の一因となります。吸う本人への影響(一次喫煙)だけでなく、周りの人が煙を吸い込む受動(二次)喫煙、そして煙から出た有害物質が服や室内の物の表面に残り、そこから危険がさらに広がる三次喫煙(残留受動喫煙)までありますので、まさに百害あって一利なしです。本人だけでなく周りの人にとっても、発がん予防と健康維持に役立ちますので、タバコは吸わないようにして下さい。

さて、乳がんが増えている今日、何に注意をするべきでしょうか。出産授乳のほか、血縁の近い人に乳がんがいるなどのリスクの話はありますが、いつ誰が乳がんになるのかを言い当てることは出来ません。幸い乳房は他の内臓と違い、自分で見て触ることが出来ますので、詳しくは分からないにしても、何か変わったことがあった時には自分で気づくことが可能です。ちょっとした形の変化・大きさの違い・部分的に強い手応え・乳頭からの分泌物などに注意が必要です。もしなったとしても、早く見つかり適切な治療を行なうことで、多くの乳がんは治りますので、普段から注意をしておく甲斐がある病気と言えます。

早期発見・早期治療をするべく、目黒区では40歳以上の方を対象に、マンモグラフィを用いた乳がん検診を行っています。平成27年度では、約8千人の方が受診をされて、48人の乳がんが発見されています。乳がんの発症年齢の分布を見ると、30歳代の後半から増えてきますので、区の検診以外でもお勤め先の健康診断や一般の人間ドック等、どのような形でもよいので定期的なチェックを受けることをお勧め致します。また、40歳以上の方の検診でマンモグラフィが有効であることは広く認められていますが、20歳代・30歳代を含め乳腺がよく発達している方では乳腺全体が白く濃く写ってしまい、しこりを十分に見極めきれないことがあります。そのような場合には、超音波検査の方が良いと考えられています。

いろいろと注意するべきことはありますが、ちょっとでも気になること・心配なことがありましたら、まずは、かかりつけ医に相談をして診てもらい、乳腺科・乳腺外来を受診されて下さい。

(G・T記)

knowledge_box-bottom
一覧へ戻る

ジカ熱をめぐる話題

ジカ熱をめぐる話題

平成28年8月1日 発行

「ジカ熱で小頭症の子供が生まれる」との報道があったり、「妊婦はリオ・オリンピックには行かないで」とWHOから勧告があったり、今年に入ってジカ熱が世間を騒がせています。

ジカ熱はジカウイルスによる感染症で、主にネッタイシマカとヒトスジシマカという蚊によって感染します。ウイルスに感染している人の血液を吸った蚊の体内でウイルスは増殖し、その蚊が別の人を刺してウイルスをうつす、というふうに感染が広がります。人から人への感染はほとんどありませんが、わずかに輸血や性交渉による感染例の報告があります。

ジカ熱は10年ほど前まではごく一部の地域の病気でしたが、昨年ブラジルでの流行が報告された後、瞬く間に中南米に広がって行きました。くしくも今年はブラジル・リオでのオリンピックが開催される年、関係者が神経を尖らせるのもうなずけます。日本国内では2013年以降7例の発症が報告されていますが、いずれも海外の流行地域で感染したものです。

では、ジカ熱ではどういう症状が出るのでしょうか?一般的には軽度の発熱、頭痛、関節痛、倦怠感、発疹、結膜炎などで程度も軽く、感染しても約8割の人は症状が出ません。2割の人は蚊に刺されてから2~7日後くらいに症状が出ます。まれにギラン・バレー症候群という全身に力が入らなくなる病気を発症という報告があります。

子供がジカ熱に感染しても症状は大人と変わらず軽いようです。問題は妊婦さんが感染した場合です。おなかの赤ちゃんが小頭症になる可能性が示唆されています。もちろん小頭症の原因はジカ熱だけではありません。他の感染症や遺伝的素因なども原因となります。しかし、どうやって胎児に感染するのか、どの時期に感染するのか、などまだまだわかっておらず、現在各国研究機関が必死になって解明中です。

現在、ジカ熱の治療薬はありません。ワクチンもありません。感染しても症状が軽く予後が良いこと、そして以前は限られた地域のみでの病気であったため、病気の原因究明や治療薬の開発が遅れていることは否めません。

それでは、今、日本にいる私たちは何に気をつければ良いのでしょう?蚊に刺されてうつる病気ですから、刺されないようにするのが一番です。藪や木陰などの屋外で活動する場合は肌の露出の少ない服装にしましょう。虫除けスプレーも有効です。蚊が多いところで寝るときは蚊取り線香や蚊帳が役立ちます。ただ、流行地で感染した発症期の人を刺した蚊に刺される確率は非常に低く、仮に感染したとしても限定された場所での一過性の感染と考えられています。日本全国に生息するヒトスジシマカの成虫は冬を越えて生き延びることはできず、また越冬する卵の中ではウイルスが越冬することがないため、ジカ熱ウイルスも日本国内では次の冬を越すことはできないだろうと考えられています。

性交渉による感染を防ぐにはどうすればよいのでしょう?流行地から帰国した男性は症状の有無にかかわらず帰国後4週間はより安全な性行動をとる、もしくは性交渉を控えることが勧められています。また、パートナーが妊婦さんの場合は妊娠期間中、同様の行動をとることが勧められています。

海外の流行地に出かける際は注意しましょう。すべての蚊がジカウイルスをもっているわけではありませんが、自己防衛はとても大切です。

まだまだわからないことの多いジカ熱ですが、まずはこの夏、無事乗り切れますように。

(I・A記)

knowledge_box-bottom
一覧へ戻る

皆様と大切な人のために ~目黒区特定健康診査とがん検診のすすめ~

皆様と大切な人のために
~目黒区特定健康診査とがん検診のすすめ~

平成28年6月1日 発行

皆様、健診を受けていらっしゃいますか?

日本人の生活習慣の変化とともに、がん・心臓病・脳血管疾患・糖尿病など生活習慣病が増えています。国民の6割弱が生活習慣病を原因とする疾患で亡くなっています。

平成20年4月より、生活習慣病予防のために従来の健診に加えて、内臓脂肪の蓄積に着目し、腹囲測定を含めた新しい健診・保健指導が始まりました。そこには内臓脂肪を減少させて、生活習慣病を予防し、皆様の健康増進のお役に立てるようにとの願いがあります。

生活習慣病は、頭やお腹が痛いなどご自身で気が付くような症状がなく進行していきます。

「最近お腹が出てきたなあ」「ほんの少し血圧が高いけど…薬を飲むほどではないから大丈夫」「血糖値や中性脂肪が少し高いと言われているけど、まだ糖尿病ではないし心配ないだろう…」

安心してはいけません。高血圧・糖尿病・脂質異常症と診断される前に、血管がもろくなり動脈硬化が進行して、心筋梗塞や脳卒中になる方が増えています。

目黒区では健診の対象者に、「目黒区特定健康調査(目黒区特定健診)」による生活習慣病の早期発見のための検査(腹囲測定・血圧・血糖値・HbA1c・中性脂肪・HDLコレステロールの測定)を行っています。健診には生活習慣病だけではなく、いろいろな病気の早期発見のために貧血・肝機能・尿酸値などの検査も含まれています。最近増えている心臓病の発見のための心電図や肺がんの検診のための胸部レントゲン検査も実施しています。

また、健康管理のためには、日本人の死因の1位を占めるがんの早期発見も重要です。

大腸がんになる人の割合は、50歳代から増加し始め、高齢になるほど高くなります。40歳代でも大腸がんの進行は見られ、大腸がんの死亡者数は、男女ともに増え続けています。

大腸がんは女性の部位別死亡者数第1位、男性では第3位になっています(2013年統計)。

さらに、がん罹患者数(がんになった人数)を部位別でみると男性1位は胃がんで、女性1位は乳がん、3位胃がんとなっています(2011年統計)。このため胃がんの早期発見のために胃がんハイリスク検診やバリウム検診も重要です。

乳がん検診、30~40歳代に多い子宮頸がん(最近は20歳代で増加)、50~60歳代に多い子宮体がん(年齢に関係なく増加傾向)など婦人科検診も実施しています。

ある日突然、病気になることもありますが、多くの病(やまい)は皆様が気づかないうちに進行致します。健診には皆様の健康管理に必要な多くの項目(肝炎ウイルス検査・眼科検診等)が含まれています。

目黒区では、健康推進課の方々のご協力により、平成28年6月1日から11月30日まで目黒区各医療機関で対象者のために特定健診・がん検診を実施しております。皆様と大切な人のために受診をおすすめ致します。

(K・S記)

knowledge_box-bottom
一覧へ戻る

『運動器検診問診票』記入のポイント

『運動器検診問診票』記入のポイント

平成28年4月1日 発行

近年、スマホ・ゲームの普及や外遊びの減少などにより、体がかたい、バランスが悪いなど子供の運動機能の低下が注目されています。この状態を「運動器機能不全」または「子どもロコモ」と呼ばれるものです。

平成28年度から学校検診に運動器検診の項目が追加される事になりました。今後ご家庭に「運動器検診問診票」とういものが配布されます。それに基づいて養護の先生、学校医の先生が判定を行い、整形外科への診察を受けるようにご指導がされることになります。今回はこの「運動器検診問診票」の記入に際してのポイントについて説明させていただきます。

1)側湾症

まず“気をつけ”の姿勢で子供を立たせ、後ろから背骨の状態を観察してください。
右図のように
①肩の高さに左右差がないか?
②肩甲骨の高さに左右左派ないか?
③脇のラインの曲がり方に左右差がないか?を見ます。
 ①から③は背骨の側湾そのものを見ています。
④次に両手をだらんと下げながら前かがみに腰を90度前屈します。 この際に左右の肩甲骨の高さに差がないかを見てください。 側湾症のある場合は背骨に“ねじれ”が生じるので、肩甲骨の高さに左右差ができます。これを見ます。


2)体幹の前後屈

足を肩幅くらいに開いて立ちます。膝を曲げずに股関節からしっかりお辞儀をするように曲げましょう。 床に指先がつくかつかないかを見るのではなく、腰痛が出るか出ないかをみてください。 次に大きく体を後方に反らせます。膝は軽く曲げるようにしましょう。 この時も腰痛の有無を見てください。



3)片足立ち

楽な姿勢で立ち、左右それぞれ片足を上げます。
上げた方の太ももが水平で膝が90度くらい曲がっていると理想的です。 痛みなく、ふらつかずに5秒間持続できればOKです。 手の位置は自由です。下げていても開いていても構いません。 バランス能力をみています。



4)しゃがみこみ

足を肩幅くらいに開いて立ちます。 両手を前に出してバランスをとりながら、お尻を落としていきます。 途中で止まらず、踵が上がらず、足の裏全体を床につけながら、倒れずに最後までしゃがみこめればOKです。 下肢の柔軟性の検査です。


5)肘の動き

手のひらを上に向けて肘を曲げたり伸ばしたりしてみてください。
痛みは出ませんか?スムーズに動きますか? 肘はしっかり伸びていますか?曲げた時に指先が肩につきますか? 角度や動きに左右差はありませんか?



6)バンザイをしてみましょう。

両手を体の前から180度挙げましょう。腕がしっかりと耳につくか見てあげてください。肩関節がかたかったり、猫背だと腕が耳につきません。痛みや左右差もみてください。上肢の柔軟性をみています。
 以上のポイントに注意して異常があった場合は気楽にそして正直に( )に○を記入してください。

(H・M記)

knowledge_box-bottom
一覧へ戻る

転倒と大腿骨頸部骨折

転倒と大腿骨頸部骨折

平成28年2月1日 発行

2本足で歩行する人間にとって、歩行中のつまずきや立ち上がりの際におきる転倒は避けることができません。医療の進歩と生活環境の整備によって寿命が長くなるに従い、高齢者の転倒に伴う骨折が健康な生活を著しく損なって寿命を縮めることが知られるようになり、転倒予防の重要性が認識されるようになってきました。また介護が必要になる理由として、認知症に加え、高齢者の転倒による骨折の割合は増加してきており、いつまでも心身ともに自立した生活を送る健康寿命の延伸のためには転倒予防が一層重要になってきます。

 

転倒骨折における骨折部位として多く挙げられているのは、背骨、手首、太ももの付け根である大腿骨頸部などです。大腿骨頸部は体幹を支える大きな役割を担っており、この大腿骨頸部が折れるということは寝たきりになる大きな要因でもあります。寝たきりの方の90%以上は転倒が原因とされています。大腿骨頸部骨折は男女とも70歳以上で急増し、75歳から79歳では年間10万人あたり500件発症すると言われています。

 

転倒は意外と家の中でおきることが多く、滑りやすい床、絨毯のへり等の少しの段差などで特に転倒しやすくなります。これは加齢により、身体機能である反射神経やバランス感覚、筋力が衰え、高齢になると歩行時に足が持ち上がらず摺り足のようになってつまずきやすくなるためです。転倒経験がある方や、歩く速度が遅くなった方、杖を使っている方は転倒による骨折を起こしやすいと言われています。

 

また骨の強度が弱まり、スカスカの折れやすい状態(骨粗鬆症)になっている事も骨折に影響します。背中の姿勢が丸くなってきた方は骨粗鬆症になっているサインであり、折れやすくなっている可能性が高いです。また体内のビタミンDが不足すると転びやすくなり、骨折リスクが高まることが分かっています。

 

ビタミンDはカルシウムの吸収率を高めて骨を強くする働きと、筋肉を強くするという働きで転倒しにくくする事で骨折を予防します。ビタミンDを多く含む食品は、サケ、ウナギ、サンマ、メカジキ、イサキ、カレイなどの脂っぽい魚や、きのこ類です。また日光に当たると、紫外線の作用で皮膚の中にあるコレステロールがビタミンDに変化します。そのため適度に日に当たることは骨の健康の助けとなります。冬は日照時間が短く、寒さのために家にこもりがちになりますが、天気のよい日はできるだけ屋外へ出て日光に当たるようにしましょう。また、活性型ビタミンD3製剤の内服治療も有効です。

 

転倒による大腿骨頸部骨折を予防するには食事でしっかりとビタミンDとカルシウムを摂取して骨を丈夫にすること、また適度に運動を続けて筋力を維持する事です。骨折が心配だからとすぐにカルシウムやビタミンDを含むサプリメントを利用する人もいます。しかし、まずは病院や診療所でレントゲン検査や骨密度測定などによる診断を受け、診断結果に応じた指導や治療を受けることが第一です。

(K・K記)

knowledge_box-bottom
一覧へ戻る
ページの先頭へ