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胃がん内視鏡検診が始まります

胃がん内視鏡検診が始まります

平成29年4月1日 発行

平成29年5月から目黒区のがん検診の一つとして、胃内視鏡(胃カメラ)による胃がん検診が始まります。目黒区在住で50歳以上であれば受診できます。今まで目黒区ではバリウムを飲むX線検査で胃がん検診を行ってきましたが、今年からバリウムによる検診か内視鏡検診か自分で選ぶことができるようになりました。

30年ほど前はがんと言えば「胃がん」で、胃がんに罹るとなかなか助からないと思われてきました。しかし、時とともに胃がんによる死亡は減りつつあります。胃がんに罹る人が減ってきていることと同時に治療によって胃がんが治るようになってきたからです。さらに、外科の治療も従来行われてきた胃の一部あるいは全部を切除する方法から、最近では初期の胃がんであれば粘膜の一部を内視鏡を使って切り取るだけで済むようにもなってきました。胃を切除することがないため、患者さんのからだへの負担も軽くなっているのです。しかし、このような方法が可能となるためには、胃がんの早期発見が必須です。

消化器専門の医師の間ではバリウムによる検査より内視鏡検査の方がより小さな病変、つまりより初期の胃がんを見つけることが可能であるというのはいわば常識でしたが、厚労省は明らかなデータが無いという理由で、長い間内視鏡検診を推奨してきませんでした。ところが近年、内視鏡検診によって胃がん死亡を減らせるというはっきりした証拠が出てきたため、国も重い腰を上げました。

その結果、多くの自治体が今後数年の間に胃内視鏡による胃がん検診を始める準備をしています。目黒区では先進的にこの検診を始めます。

バリウムによる検査は短時間に大勢の人を検査するには適した検査法ですが、モノクロームで胃粘膜面の凹凸を見ているので、胃内視鏡の精度には残念ながら及びません。また、放射線の被ばくという問題もあります。対して、胃内視鏡検査はカラー画像で見たいところをクローズアップしてみることが可能で、必要ならば粘膜の組織検査もその場でできます。但し、習熟した検査医でないと苦痛を伴う場合があります。また、この10年間で普及した鼻から入れる内視鏡を使えば楽に検査を受けることができます。直径5ミリのファイバースコープですが、デジタル技術の進歩のお陰で口から入れる10ミリ程の器械と遜色ない画像が撮影できます。

これからは、未だ症状も無い初期のうちに胃がんを見つけて内視鏡で粘膜の一部を切除するという、この方法であれば、入院期間も数日で済み、手術後に食事の量が減ったり、ゆっくり食べないと消化できずに苦しんだり、といった後遺症からほぼ解放されます。今や、胃がんで死ぬことは勿論、胃を切除することもなくて済むのです。そのためにもぜひ内視鏡検診を受けて下さい。

受診できるのは

50歳以上の目黒区民で、職場などで同様の検診が受けられない方のうち、前年度に目黒区胃がん検診を受けていない方です。つまり2年に1回検査が受けられます。胃内視鏡検診かバリウムによる検診かは自分で選ぶことができます。

平成29年4月から目黒区に申込制で、29年度だけは28年度にバリウム検診を受けた方も受診できます。

詳しくは目黒区役所にお尋ねください。

(H・W記)

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