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風疹がはやっています

風疹がはやっています

平成25年6月1日 発行

東京では平成24年夏頃より成人男子を中心に風疹が流行しています。今年に入り風疹の流行はさらに広がって5月の時点で2000人をこえています。今年、都内で報告された風疹患者を年齢階級別にみると35から39歳の男性の報告が最も多くなっています。女性では患者報告数の46%は20歳代となっています。風疹患者全体の約90%が20歳以上となっており、風疹がいわゆるこどもの病気ではないことがわかります。

風疹は風疹ウイルスに感染することにより発症します。咳やくしゃみの飛まつにより感染するといわれ、潜伏期は2週から3週間です。症状は発熱、咳、淡紅色の発疹、首や後頭部のリンパ節の腫れ、関節痛などです。合併症として血小板減少性紫斑病や脳炎などがありますが、今一番問題となっているのは妊娠初期の女性が風疹に感染するとお腹の赤ちゃんに先天性風疹症候群という病気が起こることです。先天性風疹症候群という病気は妊娠3か月くらいまでにお母さんが風疹にかかると胎児に風疹ウイルスが感染し、生まれてくる赤ちゃんの耳が聞こえなくなったり目に白内障を生じ視力が低下したり、心臓に奇形ができたり脳障害などが起こる病気です。

風疹にかかってしまうと対症療法しか治療法はありません。ですからワクチンで予防することが大切です。風疹にかかったかどうか、ワクチンをやったかどうかはっきりしない方にワクチン接種をしてもなんら問題はありません。

小児に対しては1歳の時と小学校に入学する前年の2回、MRワクチン(麻疹、風疹混合ワクチン)の接種が行われていますから、受けている方は心配ありません。

目黒区では先天性風疹症候群の発生防止を目的として成人に対する風疹の予防接種を平成25年4月1日より行っています。接種対象者は目黒区に住所を有する19歳以上の方で、妊娠を予定または希望している女性(妊婦の方を除く)と妊娠している女性の夫です。予防接種を受けた女性は接種後2か月間は避妊をする必要があります。対象ワクチンはMRワクチン(麻疹、風疹混合ワクチン)または風疹単独ワクチンで費用は無料となります。期間は9月30日までですからこの機会にぜひ受けてください。

また目黒区では20歳未満のMRワクチンを一度しか受けていない方に対して公費による任意接種を行っています。詳しくは目黒区のホームページを参照するか直接、保健予防課または碑文谷保健センターに問いあわせください。

風疹にかかったことがない人は成人であってもワクチン接種をすることは、自分が風疹にかかるのを防ぐと共に社会に風疹を広めないという意味で大切です。予防接種について分からないことがあったら、かかりつけ医に相談してください。

(K・I)

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