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認知症は、年のせいではなく脳の病気です。

認知症は、年のせいではなく脳の病気です。

平成24年12月1日 発行

認知症の疫学
統計では認知症の方は時代とともに増加し、人口の高齢化を超えて上昇していると考えられています。東京都でも4人に1人は高齢者で、そのうち1割以上は認知症と言われています。確かに高齢者で多い傾向はありますが、若年者でもかかることもあり、認知症は誰でもかかりうる病気です。

認知症の種類
アルツハイマー病(AD)、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症
は詳しい原因は不明ですが脳の神経細胞の変性によるものです。脳血管性認知症は脳梗塞や、脳出血後など脳の血管の障害によって起きる認知症です。糖尿病、高血圧などの管理による動脈硬化の予防が重要です。頻度はADが1番多く、次に脳血管性と言われていますが両者が合併したものもあります。その他慢性硬膜下血種、特発性正常圧水頭症による認知症様症状があります。これらは手術で原因が治療されれば症状も改善します。したがって画像診断を含め専門医による早期の正しい鑑別診断が大切です。

認知症の危険因子
遺伝的要因、加齢といった避けられないものは除き、ADに関しては喫煙、糖尿病、メタボリック症候群、うつ病などがあります。脳血管性は、高血圧と糖尿病が何といっても重要です。予防に有用であると考えられているものに、糖尿病、高血圧、脂質異常症の改善、望ましい体重の維持、運動習慣、禁煙、社会交流と知的活動、野菜と果実の多い健康的な食事などが挙げられます。

認知症の症状
症状は大きく分けて中核症状と行動・心理症状(BPSD)があります。中核症状とは脳の機能の障害によるもので、記憶障害(最近の体験や約束などを忘れる)、見当識障害(日時や場所などわからなくなる)、実行機能障害(計画が立てられなくなる、料理などの手順を忘れる)があります。後者は妄想(もの盗られ)、幻覚、徘徊、うつ状態など本人の性格、環境、人間関係など様々な要因から現れる精神症状や行動障害です。いずれも単なる物忘れと違い、日常生活に著しく支障をきたす状態です。

認知症の治療
認知症の治療には薬物療法非薬物療法があります。薬物療法は最近新しい薬がいくつか認可され選択肢が増えました。早期に使用すれば進行を遅らせる一定の効果があります。BPSDにも有効な薬があります。非薬物療法は介護ケアが中心で、ご本人の環境の整備や接し方等ご家族の理解と協力が必要です。この2つは車の車輪の如く重要で、医療側とご家族、介護職との連携が不可欠です。

認知症かなと思われたら
ご家族あるいはご自身が認知症かなと思われたら、まずかかりつけ医にご相談ください。目黒区医師会には認知症の専門である神経内科や精神科でなくとも、かかりつけ医認知症対応力向上研修を受講して正しい知識を有している一般医が多く、また認知症サポート医もいます。また、目黒区内の5大病院(東邦大学医療センター大橋病院、三宿病院、厚生中央病院、東京共済病院、東京医療センター)の認知症専門外来と、認知症連携パスを使用した医療連携をしており、迅速に紹介し、的確な診断、治療に移行することができます。もしかかりつけ医がいない場合は、直近の包括支援センターにご相談ください。認知症相談をしており、医療機関への紹介もおこなっています。目黒区医師会は、各地域包括支援センター、地域ケア推進課の方々と定期的に連絡会を開き、認知症のサポートの充実を図っていますので安心してご相談ください。

(M・M)

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