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予防接種

予防接種

平成24年2月1日 発行

日本では毎年多くの子どもたちがワクチンで予防できるはずの病気に感染して命を落としたり重い後遺症に苦しんだりしています。朝日新聞でもおたふくかぜの合併症で難聴に苦しんでいる方の記事が出ていました。

子どもは病気にかかりやすく、かかると重くなる病気もあります。病気の原因となるウイルスや細菌または細菌の作り出す毒素の力を弱めて予防接種液(ワクチン)を作り、これを投与することによりその病気に対する抵抗力(免疫)を作ることを予防接種と言います。そうすることにより病気にかからなくなったり、病気が軽くなったりその病気によって起こる合併症を防ぐことが出来ます。お母さんから赤ちゃんに伝えられた病気に対する抵抗力(免疫)は生後3か月から1歳くらいまでに自然に失われていきます。ですから病気によって2か月くらいから予防接種を始める必要があります。

日本では定期予防接種といって公費負担により無料で受けられるものと任意予防接種といって有料なものがありますがどれも大切な予防接種です。世界の多くの国ではほとんどのワクチンは定期接種として行われておりワクチンも多くの種類があります。その観点からすると日本の予防接種は遅れていると言わざるを得ません。それでもここ数年、日本でも生後2か月より接種できるインフルエンザ菌b型(ヒブ)ワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、ロタウイルスワクチン、10歳以上より接種する子宮頸がんワクチンなど多くの予防接種を受けることが出来るようになりました。以前よりあるB型肝炎ワクチン、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチン、インフルエンザワクチンもぜひ受けてください。これに定期接種であるBCG、DPT、ポリオ、MR、日本脳炎ワクチンがあり、それぞれを複数回接種しなければいけませんから、どれをどういう順番でやったらいいか混乱している方が多いと思います。赤ちゃんが生まれたら近くに信頼できるかかりつけ医を探してその先生と相談しながら予防接種のスケジュールを立ててもらってください。赤ちゃんのワクチンデビューは生後2か月です。

ワクチンの同時接種は安全であることが証明されていますから場合によっては同時接種も可能です。予防接種の副作用は注射部位が赤く腫れたり熱が出るといったもので重篤な副作用はまれで、実際にその病気にかかることに比べはるかに安全です。

ワクチン接種は国連のWHO(世界保健機関)を中心に世界中で推進されています。世界中で多くの人に使用され、接種後の多くの科学的調査が行われ有効性と安全性が証明されています。

多くの感染症の中でワクチンが開発されている病気は少数です。ワクチンで防げるということはラッキーなことです。しかしワクチンを受けていなければ予防はできません。防ぐ方法があるのに防がないなんてこんなもったいないことはありません。

(K・I)

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